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COMMENT

村瀬監督の人生や
今までの造形への思いが
ぎっしりと詰まっていました
その優しい眼差しにたくさんの人の協力が集まって
このような素敵な映画が出来上がったんですね
そして改めて「映画を作る」ということは
カミノフデを操ることに他ならないと
感じました

山崎 貴(映画監督『ゴジラ-1.0』)

MOVIE

INTRODUCTION

「ゴジラ」「ガメラ」「大魔神」シリーズをはじめ、数多くの造形を手掛け、現在の怪獣造形の礎を作ったレジェンド、村瀬継蔵。

そんな村瀬が初総監督を務める「カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜」は、1970年代に香港・ショウブラザーズのプロデューサーに依頼され、書き留めたプロットを基に作られたオリジナルファンタジー作品だ。

オリジナルコンセプトデザインに、東映特撮ヒーロー作品のキャラクターデザインだけでなく、深作欣二作品の美術デザインでも知られる高橋章。

本作に登場する怪獣ヤマタノオロチのデザインを、「ゴジラ」シリーズのデザイナーとしても知られる西川伸司が担当するなど、昭和、平成、令和の著名特撮映画スタッフが集結!

新しい世代に贈る、
アナログ特撮映画がここに誕生!
イントロダクション 画像

STORY

ストーリー 画像

特殊美術造形家・時宮健三が亡くなった。
祖父である時宮の仕事にあまり良い思い出がなかった朱莉は
複雑な心境でファン向けのお別れ会を訪れていた。

そこには特撮ファンである同級生の卓也の姿もあった。
朱莉と卓也は時宮の古い知り合いだという穂積と名乗る若い男と出会う。

祖父が映画を作ろうとしていたことを初めて知る朱莉。
穂積はおもむろに鞄から『神の筆』の小道具である筆を手にする。

「世界の消滅を防いでください」

穂積のその言葉とともに朱莉と卓也は光に包み込まれた。

気づくと二人は映画『神の筆』の世界に入り込んでいた。
そして映画に登場しないはずの怪獣ヤマタノオロチが
この世界のすべてを破壊し尽くそうとする光景を目の当たりにする。

元の世界に戻るため、二人は時宮が作るはずだった
映画『神の筆』の秘密に迫っていくことに……。

CAST

THEME SONG

アーティスト画像

主題歌

「Kaiju」

DREAMS COME TRUE

作詩・作曲:吉田美和 編曲:中村正人
(DCTrecords/UNIVERSAL SIGMA)

配信はこちら

村瀬監督の 長い長い間 持ち続けられている
ものすごい熱量の「情熱」に圧倒され
涙が溢れました。
すごいなぁ。
その気持ちや姿勢を
こんな素晴らしい作品を通して
感じさせて頂いたこと、関わらせて頂いたこと、
只々 感謝です。

DREAMS COME TRUE 吉田美和

作品レビュー

文:谷岡正浩(音楽ライター)

 イマジネーションとパッション、そしてスキルが幸福な形で結びついている。この曲は「創作」そのものをテーマにしたものだ。

 タイムトンネルを潜っていくような錯覚にとらわれるイントロから匂い立つような風景描写の歌詩へとつながっていく。〈カワセミ〉〈川面〉〈白樺〉――メロディに乗った言葉とともにひとつの景色が目の前に広がっていく。そこはきっと吉田美和のなかにある原風景と重なり合う場所なのだろう。北海道池田町。十勝平野のやや東寄りにあり、十勝川の支流利別川が町を南北に貫く自然豊かな場所だ。吉田の出身地が池田町ということは広く知られている。

 この新曲「Kaiju」は、2024年夏に全国公開されることが決まっている映画『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』の主題歌となっている。この映画の原作・総監督を務めたのが日本の特撮映像を支えてきた美術造形家の村瀬継蔵だ。彼もまた池田町の出身である。

 ゆったりとしたメロディに雷鳴と雨の音が交じる。不穏ともいえる空気が漂う。しかしその心の揺れは決してネガティヴなものではない。どちらかというと、何か見たこともないものが出現するという期待感の方が大きい。それはまさに、創作の火種。

 〈僕らは Kaijuを創った Kaijuは知られた 言葉も通じない多くの場所で〉

 Kaijuは今や世界で通じる日本語のひとつとして認知されている。けれどもこの言葉は曲のなかにおいて、どこまでも自由が与えられた無形の言葉として存在している。〈Kaiju〉を何に置き換えてもいい。何かの創作物はもちろんだし、日々の生活での料理や大切な人に向けての感謝の言葉だっていい。みんな何がしかの〈Kaiju〉を生み出しながら生きている。

 その言葉と同じように、この曲は、いわゆるポップスの型にはまっていない。細かいことを抜きにして言えば、メロディは一種類しかないのだ。つまりはAメロもBメロもサビもない。さらにトラックもシンプルではあるが、曲(というよりも歌詩)が進むごとにその形を絶えず変化させていく。まるで心のなかにある創造の火種が燃え広がる炎になるように。これ以上ない強さと豊かさを兼ね備えた楽曲は、吉田美和と中村正人が2人だけで緻密に構築したものであり、まさに「Kaiju」と呼ぶにふさわしい創造物になっている。ちなみに、ミックスはドリカム楽曲ではおなじみのNYのトップエンジニアが手掛けている。

 冒頭の歌詩に戻ろう。

 〈カワセミが 青い弾丸となって 川面にきらめき翻るのを〉で始まる詩情豊かな美しい一節は、最後の〈僕はKaijuだ Kaijuは君だ 想像/創造の羽は 誰にも渡すな〉という力強い意志に満ち溢れた言葉で締め括られる。〈カワセミ〉という現実が〈僕〉や〈君〉の生き方を通じて〈想像/創造の羽〉になる。創作の根源とその過程を描きつつ、人間として普遍の存在意義を鮮やかに示してみせる――吉田美和の表現者としての透徹した眼差しを感じる。そして、〈僕〉だけではなく〈君〉がいて〈僕ら〉であることが描かれるその歌詩にDREAMS COME TRUEというバンドの歩んできたここまでの35年を想像せずにはいられない。

 この曲にはまだまだ続きがある――そう思えてならないのだ。

STAFF

村瀬継蔵 写真

原作・総監督

村瀬継蔵

1935年生まれ、北海道出身。
怪獣などの着ぐるみを手がける美術造形家。
美術造形会社「有限会社ツエニー」会長。

1958年に東宝の映画作品に参加。同年の『大怪獣バラン』から、1961年の『モスラ』、1962年の『キングコング対ゴジラ』、1963年の『マタンゴ』などの造形助手として活躍。1965年には、大映初の怪獣映画となる『大怪獣ガメラ』の着ぐるみ造形を担当した。後に東宝から独立してエキスプロダクションの設立に参加し、テレビ特撮の『快獣ブースカ』や『キャプテンウルトラ』などを担当した後、1967年には韓国初の怪獣映画『大怪獣ヨンガリ』、1969年には台湾映画『乾坤三決斗』の造形も手がけている。1970年に開催された日本万国博覧会では、テーマ館「太陽の塔」の内部に建つ「生命の樹」に取りつけられた恐竜をいくつも手がけている。1972年にはエキスプロから独立し、造形美術会社「ツエニー」を設立。折からの変身怪獣ブームに伴い、『超人バロム・1』、『ウルトラマンA』、『人造人間キカイダー』、『クレクレタコラ』などを手がけることになり、香港のショウブラザーズに招かれて1976年公開の『蛇王子』の造形を担当。1977年に香港で公開された『北京原人の逆襲』では、造形だけでなく特撮スタッフのコーディネートや火だるまとなった北京原人が高層ビルのセットから落下する場面のスタントも担当している。その後は『帝都大戦』(1988年)や『ゴジラvsキングギドラ』(1991年)などの造形や美術を手がけた。
現在は映画、テレビ以外にも、CM映像や劇団四季の舞台造形・美術など、幅広く活躍している。
令和3年度文化庁映画賞映画功労部門受賞

第47回日本アカデミー賞
協会特別賞 受賞!
  • 脚本

    中沢 健

    小説家。UMA研究家。
    作家デビュー作『初恋芸人』がNHK BSプレミアムでドラマ化。その他の著作に『キモイマン』『平成特撮世代』『茨城の妖怪図鑑』『となりのUMAランド 写真で見る未確認生物図鑑』など。
    『ウルトラゾーン』や『ガルーダの戦士ビマ』などの脚本も担当。UMA研究家として、『緊急検証!シリーズ』『ビートたけしの超常現象Xファイル』などの番組にも出演している。

  • 音楽

    小鷲 翔太

    作曲家・ドラマー。
    CM楽曲の他、『PUI PUI モルカー』シリーズなどの音楽を担当。

  • オリジナルコンセプトデザイン

    高橋 章

    美術デザイナー、美術監督。
    学生時代に大映初の怪獣映画『大怪獣ガメラ』の操演スタッフとして特撮作品に参加。村瀬が共同設立したエキスプロダクションに参加後、1971年『仮面ライダー』などの東映作品でデザイナーとしてのキャリアを積み上げる。1980年のテレビ特撮『Xボンバー』ではデザインだけでなく演出も手がけ、美術を務めた1983年の深作欣二監督作品『蒲田行進曲』では第37回毎日映画コンクールの美術賞を受賞している。